MMモジュールで使用する『購買組織』について、組織構造やコンフィグ、どの機能でどのように使用されるのかなどの役割や組織定義を行う際に検討すべき点を解説します。
『購買組織』とは
『購買組織』とは、購買業務で使用する4桁コードの組織で、調達を行う組織単位です。取引先と交渉し、調達行動に責任を持つ単位とイメージしていただければ良いかと思います。
まず組織構造とコンフィグを解説し、その後『購買組織』の使用目的などを説明します。
組織構造
『購買組織』は、『会社コード』と『プラント』に紐づけられています。会社コード:購買組織の関係もプラント:購買組織の関係もそれぞれn:nで紐づけることが可能です。
会社全体で1つの購買組織を共有するパターンと1つの会社内で複数の購買組織を使用するパターンがあり、どちらにするかは企業によりまちまちです。それぞれが業務にどのような影響があるのかは、後述の「組織定義時の検討ポイント」で解説しています。
コンフィグ
『購買組織』のコンフィグ手順ですが、まず購買組織を新規作成します。作成は、画面上の「新しいエントリ」をクリックし、購買組織の4桁コードや名称などを定義します。そして、作成した購買組織を『会社コード』と『プラント』へ割り当てます。
『購買組織』のコンフィグ
購買組織の新規作成
SPRO>エンタープライズ構造>定義>資材管理>購買組織
会社コードへの割当
SPRO>企業構造>割当>在庫/購買管理>購買組織の会社コードへの割当
プラントへの割当
SPRO>企業構造>割当>在庫/購買管理>プラントへの購買組織の割当さ
使用目的と役割
繰り返しになりますが、『購買組織』は調達行為を行う単位です。そのため、主に購買のトランザクションで指定が必要になります。購買依頼時や購買発注時のタイミングで、発注を管理するために使用します。
『購買組織』は、購買依頼(Tr-Code: ME51N)と購買発注(Tr-Code: ME21N)では、入力必須です。
補足になりますが、購買担当者を表す『購買グループ』は、購買発注時のみ入力必須で、購買依頼伝票には保持していません。
組織定義時の検討ポイント
『購買情報マスタ』の管理
『購買情報マスタ』とは、調達業務に関するデータを保持するマスタです。『購買組織』をキー項目として使用し、『購買組織』ごとに品目×仕入先単位で登録します。
『購買組織』の組織定義を行う際は、『購買情報マスタ』で保持する情報をどのような粒度で管理したいかを考慮する必要があります。以下に『購買情報マスタ』が保持する項目の一部をリストアップしました。
同一仕入先であっても部署や課ごとに金額などの契約条件が異なるようなケースでは、購買情報マスタを区別して管理する必要があります。そのため『購買組織』は複数用意しなければなりません。
一方、1つの仕入先に対して交渉や契約に責任を持つ部署が異なるケースがない場合は、1つの『購買組織』を会社全体で共有して使用することができます。
つまり、『購買組織』の組織定義は、まず企業の要件を把握し『購買情報マスタ』をどのように管理するのかを考慮することが重要です。
『購買情報マスタ』の主要項目
発注単位
仕入先に品目を発注する際の数量単位(KG、PCなど)
納入予定日数
発注から納入までにかかる調達リードタイム
購買グループ
調達を担当する購買担当者
過剰納入許容
入庫数量が発注数量を超過する場合、許容する数値を%で指定する。
品目や契約により、必ずしも発注数量ぴったりで納入することが困難である場合に設定が必要。
標準数量
通常、仕入先に発注する品目の数量
入庫基準請求書
入庫に基づき自動で請求書照合を行うか否かの制御をする区分項目
金額、通貨、価格設定単位、数量単位
仕入先から品目を発注する際の金額
「3個あたり$100.00」という形式で保持する。
有効開始日、有効終了日
購買情報の有効期間
『品目マスタ』購買管理ビューの管理
購買情報マスタに加え、購買組織は『品目マスタ』の購買管理ビューでもキー項目として使用されています。購買情報マスタほど業務に影響する項目はありませんが、『購買組織』を細分化してしまうと『品目マスタ』のメンテナンスが手間になります。
『品目マスタ』の購買管理ビューで保持している一部の項目をリストアップしておきます。
『購買情報マスタ』の主要項目
発注単位
仕入先に品目を発注する際の数量単位(KG、PCなど)
購買グループ
調達を担当する購買担当者
自動購買発注
購買依頼を購買発注に自動で変換する際に設定する区分値
入庫処理日数
納入されてから実際に品目を入庫処理するまでにかかる日数
品目が届いてから受入検査実施後に入庫処理を行う場合などに設定する。
最後に
ここまで『購買組織』について、構造や使用目的、組織定義時の検討ポイントをご説明してきました。購買業務を行う上で、『購買組織』は重要な組織です。
一度定義した組織は、変更することはほぼ不可能です。それは、変更することで様々な機能に影響が出ることが懸念されるためです。そのため、組織定義を行う際は、要件をしっかりと把握し行う必要があります。