世界を代表するERPパッケージであるSAPの導入を支援する『SAPコンサルタント』ですが、近年、このSAPコンサルタントを希望する人が増えており、人気の職種のひとつになっています。でも、なぜ希望する人が増えているのでしょうか?
目次
『SAP』とは
SAPは企業のヒト、モノ、カネなどの情報を一元管理するERPパッケージ(ITシステム)です。ERPパッケージを導入することで、企業は業務改善や経営指標が可視化され、大きな効果を得ることができます。世の中には多くのERPパッケージが存在しますが、中でもSAPは世界で25,000社以上が採用しており圧倒的なシェアを誇っています。日本でも半数近い企業がSAPを導入しているのが現状です。
ERPやSAPについては、こちらでも詳しく解説しているので、参考にしてください。
『SAPコンサルタント』とは
SAPコンサルタントは、企業の要件を分析し、SAPの機能を最適化して導入を支援します。そして、SAPの導入によって経営戦略を成功させることが使命となります。そのため、プロジェクト管理や会議のファシリテーション、ドキュメンテーションなどのコンサルタントとしての基本的なスキルはもちろん、SAPの知識も必要となります。
また、導入後のフォローもSAPコンサルタントの仕事の1つです。SAPは、定期的にバージョンアップされ、機能が追加されていきます。それに伴い、必要に応じて導入後も最適化が必要となるため、SAPコンサルタントの支援が必要となります。
SAPの導入方法については、こちらでも詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
SAPコンサルタントの魅力
1. 収入が高い
まずは、何より年収が高いことが挙げられます。コンサルティングファームに所属しているSAPコンサルタントの平均給与は年収600~1,500万程度です。企業によって異なりますが、入社して間もない若手であっても大体600万程は稼げるので、高収入な職種と言えると思います。
私自身、コンサルに転職して4年目には年収1,000万円を達成しました。また、フリーランスであれば、能力によってはそれ以上の収入を得ることも可能です。
「高収入なのは分かったけど、その分仕事が忙しいのでは?」そんな疑問を持つ方もいるかと思います。私の場合、コンサルティングファームに勤めていた際は忙しい時期もあったのは確かですが、プロジェクトの状況によりけりです。プロジェクトが忙しい時期は、夜遅くまで働いていましたし、休日出勤することもしばしばありました。一方、プロジェクトが落ち着いているときは、休みを取ったり、業後を楽しんでいました。
2. 学歴が関係ない
二つ目に、SAPは社会人になってから学習を始めても遅くないという点もあると思います。SAPコンサルタントに学歴は関係ありません。学生時代からSAPを勉強している人はほとんどいません。社会人になってから、SAPを使った実務やSAP導入プロジェクトに参画するなどして、仕事を通してSAPを学ぶのが一般的です。
学校などでの学習が必要な職種は社会人からキャリア形成するのはハードルが高いですが、学歴関係なく社会人になってからキャリアをスタートできるのはSAPコンサルタントの魅力だと思います。
また、一概にSAPコンサルタントといっても、一人ひとり専門とする領域や分野を持っています。会計領域に強い人、営業領域の知識が豊富な人、または、製造業界の経験が豊富な人や商社に詳しい人など、SAPの中でも専門性を高めることでコンサルタントとしての価値が向上します。若手のうちは新たに専門領域を選んで学ぶこともできますし、ある程度職歴がある場合は経歴を軸にSAPのキャリアを積むことができます。
3. 大手企業がクライアント
SAPは企業のヒト、モノ、カネなどの情報を一元管理するERPパッケージです。ERPパッケージを導入することで、業務改善や経営に関する意思決定などに大きな効果をもたらします。
世の中には様々なERPパッケージがありますが、中でもSAPは世界で25,000社以上が採用しており圧倒的なシェアを誇っています。
そのため、SAPを導入している企業は大手企業が多く、コンサルタントは経営層の方との関わりが多い職業なので、仕事を通して学べることが多いのも魅力です。
SAPコンサルタントが高収入な理由
1. SAP人材の不足
そもそもなぜSAPコンサルタントは高収入なのでしょうか?繰り返しになりますが、世界には数多くのERPパッケージがありますが、SAPは圧倒的なシェアを誇っています。そして今後もSAPの需要は伸びていくことが想定されますが、SAP導入や保守・運用をサポートできるSAP人材が足りていないのが現状です。
また、『2027年問題』というものがあります。SAPの最新バージョンは『SAP S/4 HANA』ですが、まだまだ以前のバージョン『SAP ECC』を使用している企業が多くあります。この『SAP ECC』は2027年にサポート期間が終了してしまうため、多くの企業は早急に『SAP S/4 HANA』に移行しなければなりません。それには、多くのSAPコンサルタントが必要となります。
つまり、SAPコンサルタントの需要は伸びているのに対し、人材が足りていないのが高収入の理由のひとつです。
2. 学習のハードルが高い
SAPは、独学で手軽に学習できるわけではありません。SAPの実機を扱いながら学習するのが一番の近道ですが、SAPを個人で購入することはコスト的に容易ではありません。SAP社が提供するトレーニングも存在しますが、個人で受講するには高額です。様々なコースが用意されていますが、大体数十万円ほどかかります。
書籍などで学習しようと思っても、参考書が少ないのが現実です。書籍やネットを通して概要を学ぶことは可能ですが、全体像をつかみ専門的な知識をつけることはなかなか困難です。
独学で知識をつけることが難しいSAPですが、SAPコンサルタントはどのように学習しているのでしょうか。SAPの学習は、コンサルティングファームに入社し、SAP導入プロジェクトに参画するのが一番の近道です。また、コンサルティングファームによっては、SAP社と提携してトレーニングを開催していたりもするので、SAPを学ぶ機会が多くあります。
SAP人材は不足している状況であるのに対し学習のハードルが高いことから、SAPコンサルタントの希少性が増し高収入となる傾向にあります。
SAPコンサルタントに向いている人
最後に
今回は、SAPコンサルタントが人気な理由や高収入である理由を解説してきました。
- 世界的に需要のあるSAPだが、SAP人材不足によりSAPコンサルタントも高収入の傾向
- SAPは学歴に関係なく、社会人になってからキャリアを形成することが可能
- SAPは世界でも圧倒的なシェアを誇るため、クライアントも大手企業が多い
- SAPは学習のハードルが高いため、コンサルティングファームで知識を付けるのが一番の近道