『プラント』は、モジュール横断で使用されるロジスティックスの根幹となる重要な組織です。そのため、業務要件をよく理解し、チーム横断で組織定義を行う必要があります。今回はそんなプラントについて、役割や定義時に検討すべきポイントなどをご説明します。
『プラント』とは
『プラント』とは、主に工場や倉庫などの物理的な拠点を表す組織です。組織構造としては、会社コードに紐づいており、1つの会社コードに複数のプラントを割り当てることが可能です。 各『プラント』は、住所情報、言語、稼働日カレンダなどの情報を保持しています。
『プラント』の役割
在庫数量の管理
まず、プラントはMRP(所要量計算)や入出庫を行う単位になります。そのため、生産工場、倉庫、流通センターなどの拠点単位で作成され、各拠点の在庫管理を行う役割があります。
なお、各拠点内での在庫管理は『保管場所』単位で行うことができます。『保管場所』とはプラントに紐づける組織で、プラント内で実際に在庫を保管する場所を定義することができます。そのため、プラントよりも細かい粒度で、プラント内のどの在庫がどこにどれほどあるのかを管理したい場合は、保管場所を定義することで実現できます。
上図は製造会社を想定した組織定義の一例です。工場や倉庫の物理的拠点をプラントとして定義しています。千葉工場には「原料倉庫」と「製品倉庫」という保管場所が紐づいており、工場内の在庫管理はプラントよりも細かい粒度で行えるようになっています。
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在庫評価額の管理
また、プラントは在庫品目の数量だけではなく、原価を管理する組織単位でもあります。棚卸を実施し、在庫評価額を管理する単位です。そのため、部門ごとに原価の管理を行っている場合は、同じ拠点であってもプラントを分ける必要があります。
上図は、部署ごとに原価管理を行っている総合商社を想定した組織定義の一例です。物理的拠点に関わらず、原価管理を行っている部署ごとにプラントを定義しています。
組織定義における検討ポイント
プラントの役割について、在庫管理と在庫評価額管理の2つをご説明しましたが、実際に組織定義を行う際はどのような点を考慮しなければならないのでしょうか。
主にロジで使用するマスタは、プラントをキーに保持しているものが多くあります。そのため、プラントを細かくするとマスタメンテナンスの負荷が大きくなるという点を考慮しなければなりません。
上述の役割で組織構造の例をご紹介していますが、一般的に製造メーカーでは、生産工場、倉庫、流通センターなどの拠点ごとにプラントを定義することが多いように思います。一方、商社などで完全に部門ごとに切り分けて原価管理を行っている場合は、同一拠点内でもプラントを部門ごとに定義することもありました。
もちろん業界や企業の要件に応じて定義していく必要がありますが、プラントの粒度を細かくすると業務にどのような影響が出てくるのかは理解しておく必要があります。
最後に
ここまで『プラント』について、役割や定義時の検討ポイントを解説してきました。『プラント』はモジュール横断で使用するSAPの重要な組織の1つなので、SAPに携わる方は理解しておくと良いと思います。
まとめ
- 『プラント』には、在庫管理と在庫評価額管理の役割がある。
- 『プラント』は多くのマスタでキーとして使用するため、定義時は業務への影響を考慮する。