SAPは、マスタの設定が特に重要なシステムです。SAPを使って円滑な業務を行うためには、各マスタがどの機能でどのように影響するのかを理解し、適切にマスタ項目を定義する必要があります。
こちらの記事では、MMモジュールに関連するマスタをご説明します。
この記事での解説内容
- MMに関連するマスタ一覧
- 各マスタの役割
目次
MMに関連するマスタ
MMに関連するマスタの一覧です。
- ビジネスパートナマスタ(BPマスタ) (Tr-Code:BP)
- 品目マスタ(Tr-Code:MM01)
- 購買情報マスタ(Tr-Code:ME11)
- 供給元一覧(Tr-Code:ME01)
- 供給量割当(Tr-Code:ME)
ビジネスパートナマスタ(BPマスタ)
BPとはBusiness Partnerの略で、取引先マスタを意味します。S/4 HANA以前は仕入先マスタが存在していましたが、S/4 HANAからは仕入先と得意先が『BPマスタ』として統合されました。MMモジュールでは、発注先となる仕入先や運送会社などを管理します。
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BPマスタの概要や構造については、こちらでも詳しく解説しています!
品目マスタ(Tr-Cd:MM01)
品目マスタは、製品や半製品、原材料、非在庫品(サービスなど)、消耗品などすべての品目の情報を保持するマスタです。品目マスタは、MMモジュールだけではなく、ほとんどのモジュールで使用されるSAPで最も重要なマスタの1つです。MMモジュールでは、主に購買依頼や発注、入庫処理、在庫管理を行うために管理が必要です。
上述の通り、品目マスタは様々なモジュールで使用さるため、ビューという単位で管理を行います。品目マスタを管理するトランザクションコードは同一ですが業務ごとにビューが分かれておりデータの格納先(テーブル)が異なる仕様になっています。登録粒度はビューごとに異なるため、主キーもビューごとに異なります。
MMモジュールでは、主に以下のビューを使用します。
MMで使用するビュー
- 購買ビュー
購買ビューが拡張されていないと購買発注伝票を登録することができません。 - MRPビュー
MRPを使用して購買を行う際に登録が必須となります。 - 会計ビュー
会計ビューが拡張されていないと数量や金額を指定して発注伝票を登録することができません。 - 一般プラント/保管場所ビュー
保管場所に入庫処理が行われる場合、一般プラント/保管場所ビューでその保管場所が拡張されている必要があります。
購買情報マスタ(Tr-Cd:ME21)
購買情報マスタは、価格情報や調達リードタイムなどの調達に関する情報を保持するマスタです。購買情報マスタをメンテナンスしておくことで、購買伝票登録などのトランザクションで、マスタを参照して価格や納期情報を算出してくれるため、業務を効率化することが可能です。
購買情報マスタの登録粒度は、以下3つより選択することが可能です。
購買情報マスタの登録粒度
- パターン①:仕入先×品目
組織に依存しないため、一般データのみ登録可能です。 - パターン②:仕入先×品目×購買組織
納入までにかかる日数や正味価格などを登録することができます。 - パターン③:仕入先×品目×購買組織×プラント
登録内容はパターン②と同様です。プラント単位でより細かい粒度で登録できるため、同一購買組織でもプラントによってリードタイムなどが異なる際などに登録します。パターン③での登録内容が優先して使用されます。
購買情報マスタに関する詳しい解説は、こちらもご参照ください。
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供給元一覧(Tr-Cd:ME01)
供給量元一覧は、品目×プラント単位で登録するマスタで、品目を調達することができる仕入先を管理します。
品目マスタ上で自動作成の設定を行うことも可能ですが、登録画面(トランザクションコード:ME01)からマニュアルで登録することも可能です。マニュアルで登録する場合は、まず第一画面で品目とプラントを入力し、Enterキーを押すと供給元一覧を登録する画面に遷移します。ここで、第一画面で入力した品目を発注することができる仕入先を登録します。
供給量割当(Tr-Cd:MEQ1)
供給量割当は、供給元一覧同様に品目×プラント単位で登録するマスタで、複数の仕入先から同一品目を調達する場合に各仕入先からどれほどの配分で調達を行うのかを管理します。
登録画面(トランザクションコード:MEQ1)では、まず品目とプラントを入力する画面が開き、Enterキーを押すと有効期間などを登録する画面に移ります。必要項目を入力すると、次の画面で各仕入先へ発注する配分を%(パーセンテージ)で設定することができます。設定した供給量割当は、MRPや購買依頼など様々なプロセスで参照し適用することが可能です。
最後に
SAPは、円滑に業務運用する上でマスタの設定が特に重要なシステムです。稼働後に実際にマスタをメンテナンスするのはユーザーになりますが、コンサルタントは各マスタがどの機能でどのように影響するのかをしっかりと理解してマスタ項目を定義することが重要です。