ビジネスパートナマスタ(以下、BPマスタ)は、取引先を管理するマスタです。当記事では、BPマスタに関連する主要テーブルや構造について解説します。
目次
『BPマスタ』のテーブル構造
『BPマスタ』は、複数のテーブルで構成されています。S/4 HANA以前は「得意先マスタ」と「仕入先マスタ」に分かれていましたが、S/4 HANAより『BPマスタ』として統一されました。その流れから、S/4 HANAもデータが格納されるテーブルは得意先と仕入先で分かれています。
『BPマスタ』のテーブル一覧
テーブルID | テーブル名 | 概要 |
BUT000 | 一般データ | ビジネスパートナの一般データを保持するテーブル |
BUT100 | BPロール | ビジネスパートナに割り当てられているBPロール(役割)を保持するテーブル |
BUT0BK | BP銀行詳細 | ビジネスパートナの銀行コードや口座情報を保持するテーブル |
BNKA | 銀行マスタ | ビジネスパートナに割り当てられた銀行コードに紐づく銀行情報を保持するテーブル |
BUT020 | BP住所 | ビジネスパートナのアドレス番号を保持するテーブル |
ADRC | 住所 | BPマスタの住所に関わらず、SAP上で登録された全ての住所データを保持するテーブル |
KNA1 | 得意先(一般) | 得意先として登録されたビジネスパートナの得意先一般情報を保持するテーブル |
KNB1 | 得意先(会社) | 会社コードごとに定義する得意先情報を保持するテーブル |
LFA1 | 仕入先(一般) | 仕入先として登録されたビジネスパートナの仕入先一般情報を保持するテーブル |
LFB1 | 仕入先(会社) | 会社コードごとに定義する仕入先情報を保持するテーブル |
BUT000:一般データ
ビジネスパートナの一般データを保持するテーブルです。「ビジネスパートナコード」がキーで、BPマスタに取引先を登録すると必ずデータが格納されます。
BUT000のキー項目
- ビジネスパートナコード
BUT100:BP役割
ビジネスパートナに割り当てられているBPロール(役割)を管理するテーブルです。該当ビジネスパートナがどのロールで拡張されているかを確認することができます。
BUT0BKのキー項目
- ビジネスパートナコード
- BPロール
- 差異タイプ値
BUT0BK:BP銀行詳細
ビジネスパートナに設定された「銀行コード」や「口座番号」などを保持するテーブルです。銀行名称などの銀行の一般情報は、後述のテーブル『BNKA:銀行マスタ』で管理しています。
BUT0BKのキー項目
- ビジネスパートナコード
- 銀行詳細
BNKA:銀行マスタ
銀行マスタでは、名称などの銀行情報を保持しています。BPマスタ上で入力した銀行コードに紐づく銀行情報を保持しています。直接BPコードと紐づくテーブルではありませんが、銀行マスタを登録していないと、BPマスタ上で銀行口座を登録することができません。
BNKAのキー項目
- 銀行国コード
- 銀行コード
BUT020:BP住所
SAPでは、住所情報は「アドレス番号」を用いて管理しています。BPマスタで取引先の住所を登録すると、システム内部では「アドレス番号」が採番され、後述するテーブル『ADRC:住所』上で「アドレス番号」ごとに住所情報を管理する仕組みになっています。
BUT020のキー項目
- ビジネスパートナコード
- アドレス番号
ADRC:住所
ADRCは、BPマスタに限らず、会社コードやプラントなどSAP上で登録されたすべての住所情報を管理するテーブルです。
アドレス番号ごとに住所を保持しています。また、アドレスバージョン
BUT020のキー項目
- アドレス番号
- 開始日
- アドレスバージョン
KNA1:得意先(一般)
BPマスタに登録したビジネスパートナに得意先としてのBPロールを割り当てると、当テーブルに得意先情報が保持されます。S/4 HANA以前から存在するテーブルであるため、主キーは「得意先コード」となっていますが「ビジネスパートナコード」と同値になります。
KNA1のキー項目
- 得意先コード(=ビジネスパートナコード)
KNB1:得意先(会社)
上述の『KNA1:得意先一般』同様、BPマスタに登録したビジネスパートナに得意先としてのBPロールを割り当てると得意先情報が登録されるテーブルです。ただし、KNA1との違いは、当テーブルに保持する情報は「統制勘定」などの会社コードごとに定義される得意先情報であるため、主キーに「会社コード」が含まれます。
こちらもS/4 HANA以前から存在するテーブルであるため、項目名が「得意先コード」となっていますが「ビジネスパートナコード」と同値になります。
KNB1のキー項目
- 得意先コード(=ビジネスパートナコード)
- 会社コード
LFA1:仕入先(一般)
BPマスタに登録したビジネスパートナに仕入先としてのBPロールを割り当てると、当テーブルに仕入先情報が保持されます。上述の得意先と同様、こちらもS/4 HANA以前から存在するテーブルであるため、主キーは「仕入先コード」となっていますが「ビジネスパートナコード」と同値になります。
LFA1のキー項目
- 仕入先コード(=ビジネスパートナコード)
LFB1:仕入先(会社)
上述の『LFA1:仕入先一般』同様、BPマスタに登録したビジネスパートナに仕入先としてのBPロールを割り当てると仕入先情報が登録されるテーブルです。ただし、LFA1との違いは、当テーブルに保持する情報は「統制勘定」などの当テーブルは会社コードごとに定義される仕入先情報であるため、主キーに「会社コード」が含まれます。
こちらもS/4 HANA以前から存在するテーブルであるため、項目名が「得意先コード」となっていますが「ビジネスパートナコード」と同値になります。
KNB1のキー項目
- 仕入先コード(=ビジネスパートナコード)
- 会社コード
最後に
ここまでBPマスタに関連するテーブルを解説しました。業務でテーブル構造まで意識することはほぼありませんが、内部の構造や仕組みを知ることでBPマスタの理解も深まりますので、参考にしていただければと思います。