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【SAP】『BPマスタ』とは?概要や構造を分かりやすく解説!

S/4 HANAより、BP(ビジネスパートナー)マスタが登場しました。BPマスタは、取引先情報を保持しており、従来別々のマスタだった得意先と仕入先を統合したマスタです。当記事では、BPマスタの概要得意先と仕入先の繋がりなどの構造を解説します。

『BPマスタ』とは

BPとはBusiness Partner(ビジネスパートナー)の略で、取引先を意味します。BPマスタは、取引先を管理するマスタです。

取引先と一概に言っても、一般的にイメージする商品の販売先となる得意先や購買もととなる仕入先だけではなく、販売領域(SD)で使用する出荷先最終得意先(エンドユーザー)給与を支払う従業員など、BPマスタには様々な取引相手を登録することができます。

トランザクションコードはとても単純です。登録、変更、照会すべて1つのトランザクションコード 'BP' で実行することができます。

 

『BPマスタ』の構造

BPマスタでは、1つのビジネスパートナに必ず『カテゴリ』と『グルーピング』をそれぞれ1つずつ定義します。そして、『BPロール(BP役割)』を割り当てます。BPロールは1つのビジネスパートナに複数割り当てることができます。

「カテゴリ」はS/4 HANAで用意されているためユーザーによる変更はできませんが、『グルーピング』と『BPロール(役割)』は要件に応じてカスタマイズで定義することができます。

各オブジェクトの詳細は、以下の例を使用して解説します。こちらの例では、BPマスタに得意先としても仕入先としても取引のある「○○株式会社」を登録することを想定しています。

カテゴリ

『カテゴリ』とは、ビジネスパートナがどのような取引先であるかを表す区分です。すでにS/4 HANAで「個人」「組織」「グループ」の3つのカテゴリが用意されています。ビジネスパートナを登録する際は、このカテゴリを必ず1つ選択しなければなりませんが、この3つの区分値はS/4 HANAで用意されており、ユーザーによって変更することはできません。

カテゴリの使い方は自由ですが、一般的には登録するビジネスパートナが会社の場合は「組織」、従業員などの個人を登録する際は「個人」を使用することが多いです。上図の「〇〇株式会社」は会社であるため、カテゴリには「組織」を設定しています。

グルーピング

『グルーピング』は、ビジネスパートナがどのような取引先であるかを表すコードで、カスタマイズで定義します。

カスタマイズでは、グルーピングごとにビジネスパートナコードの番号範囲を定義することができるので、要件に応じた設定が可能です。

例えば、同一取引先であっても得意先機能と仕入先機能で別々のコードで管理する場合は、以下のように得意先と仕入先で異なる番号範囲を割り当てます。一方、得意先機能と仕入先機能を1つのコードで管理したい場合は、得意先と仕入先を区別せず同じ番号範囲を割り当てます。

上図の例では、得意先としても仕入先としても取引のある「〇〇株式会社」を1つのビジネスパートナコードで登録することを想定しているため、『グルーピング』は「外部取引先」として得意先と仕入先をまとめています。

また、部門ごとに番号範囲を区別して取引先を管理したいなどの要望がある際は、以下のような定義をすることも可能です。

 

ビジネスパートナロール(BP役割)

ビジネスパートナロール(BPロール)は、ビジネスパートナの使用用途を区別する項目です。このBPロールを割り当てることで、得意先や仕入先を区別することができます。

1つのビジネスパートナに複数のBPロールを割り当てることができるため、得意先ロールと仕入先ロールどちらも割り当てることで1つのビジネスパートナで得意先と仕入先どちらの役割も果たすことができるようになります。

上図の例でも「○○株式会社」は得意先としても仕入先としても取引のある企業を想定しているため、得意先と仕入先それぞれのロールを割り当てています。

BPロールは、企業の要件に応じてカスタマイズで定義できますが、S/4 HANAにより事前に定義されているロールもあるため、いくつかご紹介します。

S/4 HANAが提供するBPロール

  • FLCU00:得意先(会計)
    得意先としてのロールで、会社や会計情報を保持します。
  • FLCU01:得意先(販売)
    得意先としてのロールで、販売領域の情報を保持します。
  • FLVN00:仕入先(会計)
    仕入先としてのロールで、会社や会計情報を保持します。
  • FLVN01:仕入先(購買)
    仕入先としてのロールで、購買領域の情報を保持します。

最後に

ここまで、BPマスタの概要と構造を説明しました。S/4 HANAより登場したBPマスタですが、モジュール共通で使用し、SAPで業務運用するためには必要不可欠である重要なマスタの1つです。

まずは概要や構造を理解して、企業の要件に沿った『グルーピング』や『BPロール』のカスタマイズ定義を行っていただけらばと思います。

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